kappaa 雑記帳

オーク ( oak ) の木はカシ?ナラ?それともカシワ? その1

その2

06/10/1

昔から世界中の軍隊でシンボルマークや階級章のデザインによく使われるオーク ( oak ) の葉、 これは日本語では「樫の葉」と呼ばれることが多いのですが、これをかたどった飾りのついた騎士鉄十字章の場合に限っては、「柏葉騎士十字章」というように、 「柏」と訳されるのが普通です。 (ちなみにグーグルで「樫葉 十字章」で検索してみるとその時点で38件で、「柏葉 十字章」で検索してみると4,850件でした。) この辺のことは前からなんとなく気になっていて、いつか調べたいと思っていました。

Ritterkreuz Des Eisernen Kreuzes mit Eichenlaub
柏葉騎士鉄十字章
(または柏葉付騎士鉄十字章)

(英語では Knight's Cross of the Iron Cross with Oak Leaves )

ちなみに、鉄十字章 (Eiserne Kreuz) そのものは フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の時代からある プロイセンの伝統的な勲章で(鉄十字のデザイン自体はもっと古くから存在)、ナチがシンボルとした鉤十字とは意味合いが全く異なります。 (もっとも、ナチ時代の鉄十字章は中央部に鉤十字が浮き彫りになっているのですが。)

鉄十字のデザインは現在のドイツ連邦軍 (Bundeswehr) の国籍マークにも受け継がれています。

フランス陸軍将官用ケピ帽(20世紀前期)

金の刺繍によるオークの葉とどんぐりがあふれんばかり。

(この図は描きかけです。出来てから差し替える予定です。)

現在でも使われているアメリカ4軍(陸・海・空・海兵隊)と沿岸警備隊共通の少佐と中佐の階級章もオークの葉。 ヨーロッパと少し形が違うようです。

なぜエライほうの中佐が銀色で少佐が金色なのか、ちょっと調べました。最初は、 少佐の階級章は brass oak leaf と呼ばれることもあるので、「真鍮より銀のほうが上」ということかと思ったのですが、 ここを見るとそうではなくて、19世紀に下地(台座)になる肩章の色との関係でちょっとややこしい経緯があり結果的にこうなったらしいことがわかりました。 Wikipediaにも細かい点で少し異なっていますが同様の解説があります。少尉と中尉を示す縦棒のことも含めて、「銀が金の上位に立つという紋章学的伝統上特異な状態をもたらした」というようなことが書かれていて、 やはり奇妙なことだったのだということを確認できました。

私がウェブ上でみつけたオークに関するもっともわかりやすい情報は The Naval Data Base.近代世界艦船事典の中の このページの「オーク Oak」という 項目です。

英語.[植物]オーク、ヨーロッパナラ(ヨーロッパ楢).

ブナ科ナラ属Quercusの落葉高木の総称.特にEuropean oakとして知られるQ.roburやQ.petraea.

とあります。簡潔かつ正確にまとめておられ、結論はここに書いてあることにつきるのですが、他にもあちこち覗いて調べたので次のページに書き留めます。

その2へ続く

模型の世界には、こんな実物の35分の1のオークの葉(地面にばらまく用?) もあったりします。