06/1/14
じつはこのキオスクを作ったのは1年以上前なので、屋根にある手すり状のディテールを省略していたのを忘れていました。 もちろんこんなところに手すりは必要ないので単なる装飾ですが、これを付けると少しだけ引き締まって見えるようです。
05/12/31
実物の建設では当然海底の基礎部分から始めなければならないところですが、CGなのでそんな必要はありません。 なにか手ごろな、すぐ完成させられる小さな部分、しかも単体で意味を持つ部分がないかと探した結果見つけたのは、ピアの先端の大きな建物の屋上に二つあったキオスク です。 この屋上はおそらく客が入れない区域で、下から見上げたときにそれらしく見えればよいというものだったようです。 内部にはベンチなどはなく、潮風が吹き抜ける虚空があるのみです。
1997年にニ玄社から出た"On the Road すばらしきクルマの世界"(小林彰太郎 編・著)という本に、著者がボロボロの ブガッティ・ブレシアという1926年型の自動車を手に入れ修理したときの話が出てきます。私はその中でもこの部分が好きです。
真っ先にやったことは、奇跡的によい状態で残っていた美しい馬蹄型ラジエターを、ピカールでピカピカに磨き上げることだった。そして これを居間の一隅に飾った。毎日これを眺めていると、早く乗りたくなるし、なにかで落ち込んだ時も、精神的な支えになると思ったからで ある。
このキオスクが私にとっての馬蹄型ラジエターであるというわけです。ただこのキオスクには、ブガッティのラジエターのような デザインの完成度、緊張感や気品は感じられません。そういえばウェスト・ピアのほかの部分を見ても、厳しくデザインを追及したという感じはありません。 観光客向けに作られた施設にそんなものを求めるわけにはいかないようです。
それにもかかわらず、全体としてのウェスト・ピアは優雅な雰囲気をたたえています。風と波、それに耐える ための鉄骨の構造と合わさって初めて凛とした姿になったのでしょうか。同じ形の建物が陸上に建っていたらこういう魅力はなかった でしょう。火事で焼け落ちたウェスト・ピアの残骸を見ると下の桟橋部分だけでなく建物部分も同じような鉄骨構造でできており、建物が普通 の木造と見えるのは実はそう見えるように工夫した結果だったことがわかります。絶えず破壊しようとする波や風と戦いながら一方で訪れる人々に 涼しい顔をして夢の国を演出して見せていたわけです。 そう思って改めてウェスト・ピアの各部のデザインを見ると、またちょっと違って見えるような気がします。